チュートリアルセッション

スケジュールとテーマ


 

内容

メタアナリシスの方法と実践(講師: 手良向 聡(京都大学))

世界中で実施された数多くの臨床試験の結果が医学雑誌等に毎日のように報告される。ランダム化対照試験だけに限っても、蓄積される情報量は膨大である。このような背景から、質の高い証拠を系統的に収集し、総合的評価を行う「系統的レビュー」という方法論が開発され、結果を定量化するための統計解析手法として「メタアナリシス」が発展してきた。メタアナリシスとは「知見の統合を目的とした複数の研究結果の統計解析」である。近年、メタアナリシスに関する優れた参考書が数多く刊行され、標準的なデータ解析手法はほぼ確立してきた。しかし、メタアナリシスの目的は、個々の臨床試験と同様に、ある臨床的な仮説に対して現時点での解答を与えることであり、実践はそれほど容易ではない。本セッションでは、医学分野におけるメタアナリシスの方法と実践に焦点をあて、主にランダム化対照臨床試験のメタアナリシスに関する標準的なデータ解析手法および留意点について事例を交えて解説する。

構造方程式モデリング −3次までの積率構造の理論と応用−(講師: 豊田 秀樹・岩間 徳兼・竹下 恵・久保 沙織 (早稲田大学))

構造方程式モデリング(SEM, Structural Equation Modeling)は,社会科学・行動科学の分野でしばしば利用される数理統計的手法である.本チュートリアル・セミナーではSEMの3次までの積率構造の理論と,その適用法を論じる. SEMには,従来,以下の3つの大きな問題点があった.

積率構造の分析には,大まかに「1次の積率(平均)の構造化による分散分析から,2次の積率(共分散)の構造化による共分散構造分析へ」という流れがあった.それを延長して,高次の積率を構造化すると,(1) ほとんど,どんな分布でも漸近的に有効な推定量が構成でき,(2) 実質科学的に要請があるパス図に関して解と適合度が一意に求まり,(3) 同値モデルに遭遇せずに,適合度の観点からライバル仮説を比較できる,という驚くべき性質が現れる.上記3つの問題点は,実用的な意味からは解決することを示したい.