チュトリアルセッションは2テーマをパラレルで行います.
Rというフリーで便利な統計環境があると聞き,使ってみたいとは思うのだけれども,きっかけがつかめなくてなかなか始められずにいる.そのような潜在的ユーザーを対象に,Rの基礎から応用までをわかりやすく解説することが本セミナーの目的です.山本先生は,計算機統計の分野における専門家として研究・教育に多くの実績をお持ちです.また,安川先生は,経済・経営データ分析のエキスパートとして豊富な経験をお持ちです.おふたりは,私のようなR初心者にも3時間程度でその有用性が実感できるセミナーをお願いしますという無理難題を快くお引き受けくださいました.
セミナーは,(1)インストールの方法や基本的なコマンドの使用方法,データの入出力などを解説する基礎編と,(2)ノンパラメトリック回帰などを援用した経済・経営データの分析を紹介する応用編とのふたつから成ります.実際の進行は,プロジェクタで示すコマンドの実行例とテキストとを併用しながらの講義形式となります.実習を伴うセミナーは実現できませんけれども,質疑応答には相応の時間を割く予定です.セミナー終了後にも傍らに置いて役立つようなテキストの作成を目指しています.
分析対象を経済・経営データとしたことは,同分野におけるRの潜在的需要に対して普及がそれほど進んでいないという事情によるものであり,受講者を同分野に限定するつもりはございません.Rなら普段から使っているけれど,経済や経営のデータではどうのように使うのかについて興味がある,という方にもお楽しみいただけると思います.
多数の受講者が参加されることを心から期待しています.
薬事法の改正に伴って,医薬品の安全性に関する情報の収集と評価の体制の強化が図られ,また,ICHで新しく合意されたガイドライン「医薬品安全性監視の計画」によって,新医薬品の製造販売後の安全性情報の収集と評価のあり方が大きく変わろうとしている.即ち製薬企業が科学的に適切な研究デザインを用いて安全性情報を積極的に収集並びに評価することが必要となる.製造販売後は臨床試験(介入研究)でなく観察研究の果たす役割が大きいが,日本の医薬品評価において科学的方法論に立脚した観察研究の経験は非常に限られている.
今回のチュートリアルでは,医薬品の安全性監視に関わる国内外の最近の動きを紹介するとともに,製造販売後の医薬品の安全性・有効性を評価するために必要な薬剤疫学の代表的な研究デザインについて事例を含めて解説することを目的とした.取上げる研究デザインは,医薬品に限らず広く疫学研究に用いられているものである.医薬品の安全性に関係する人のみならず,さまざまな研究分野の方々の参加を期待します.
内容