チュートリアルセッション
- 日 時:2007年9月6日(木)午後 (12:30より受付開始)
- テーマ1:ベイズ統計とベイジアンネットワーク
講演時間: 13:00−18:10
オーガナイザ:繁桝算男(東京大学)
講演タイトルと講師:
第1部 ベイズ統計の基本とベイジアンネットワークの導入 [繁桝算男 (東京大学)]
第2部 ベイジアンネットワークのモデル構築 [植野真臣 (電気通信大学)]
第3部 ベイジアンネットワークによる問題解決 [本村陽一 (産業技術総合研究所)]
- テーマ2:大規模データ解析の現状と問題点
講演時間: 13:00−15:30
オーガナイザ: 樋口知之(統計数理研究所)
講 師: 樋口知之(統計数理研究所)
- テーマ3:生存時間解析における競合危険モデル入門
講演時間: 16:00−18:30
オーガナイザ:上坂浩之(日本イーライリリー)
講 師:西川正子(国立保健医療科学院)
- 補足:テーマ2と3につきましてはどちらか片方のみを受講することもできます.
- 講演時間: 13:00−18:10
- オーガナイザ:繁桝算男(東京大学)
- 講演タイトルと講師:
第1部 ベイズ統計の基本とベイジアンネットワークの導入 [繁桝算男 (東京大学)]
第2部 ベイジアンネットワークのモデル構築 [植野真臣 (電気通信大学)]
第3部 ベイジアンネットワークによる問題解決 [本村陽一 (産業技術総合研究所)]
- 内容:
ベイズ的な考え方は、素朴であり、日常的思惟の自然な表現であり、分かりやすいものである。また、世の中の現象を、いくつかの出来事のネットワークのつながりとして表現することも自然であると考える。この二つが結びついたものがベイジアンネットワークモデルである。今回のワークショップは、ベイズの考え方に触れたことのない方、宗教的であると毛嫌いしている方(Thomas
Bayesは牧師であった)、数理的な統計学と自分の抱えている問題とに乖離を感じている方などを念頭に、ベイズの基本的な考え方から出発し、現実の問題解決の手法のマスターにいたるコースである。統計学の教科書の一章を割いて紹介されるベイズ統計学の概要や、あるいは、ベイズ統計学に関するテキストの理論的説明の刺身のつまのような扱いとは一味違うコースの展開を考えている。
- 講演時間: 13:00−15:30
- オーガナイザ:樋口知之(統計数理研究所)
- 講師:樋口知之(統計数理研究所)
- 内容:
複雑なシステムが不断に生み出す大量のデータの解析処理,そこからの有用な情報の自動的な抽出,つまり計算機による知識獲得の重要性が叫ばれて久しいが、統計科学がこの要求に満足に答えてきたのか、特にデータマイニングや機械学習等の他隣接研究領域と比較して十分であったのかは自省すべき時期にきている。本チュートリアルでは、統計科学の研究者が大量データの解析にあたって障害となる、欠損値や異常値の取り扱い等の前処理技術から、ベイジアンモデリングを利用した異種情報の統合手法までを、講演者の多数の実例経験をおりまぜて紹介する。人工衛星時系列データ、GPSデータ、POSデータ、マイクロアレイデータ等の解析例を示す中で、直面した困難をいかに克服していったかを解説する予定である。
- 講演時間: 16:00−18:30
- オーガナイザ:上坂浩之(日本イーライリリー)
- 講師:西川正子(国立保健医療科学院)
- 内容:
ある個体あるいは対象を経時的に観察し、注目している事象が発生するまでの時間あるいは、経時的な累積発生割合を推定する問題は、医療において特定の原因による死亡や有害事象の発生等を扱う生存時間解析、ある製品の寿命に関する信頼性研究などをはじめとして、疫学・薬剤疫学、公衆衛生、人口問題、保険統計、生物・医学研究、経済学などの様々な領域で発生する。そのような場面では注目している事象以外の原因、すなわち競合危険によるセンサリングの発生が問題になる。医学・生物学データの解析ではしばしば競合危険因子間の独立性を仮定した解析が見られるが、この仮定は多くの場合データから確認できない。また、生存関数の推定ではKaplan-Meier推定量がよく用いられるが、競合危険因子が存在する場合、Kaplan-Meier推定量にはバイアスが入ることが知られており、また、この点を指摘する論文も見られる。前者に関しては、最近、競合危険因子の独立性を仮定しない解析法が提案されている。後者においては、競合危険モデルによる解析を適用すべきである。
本セミナーでは、様々な場面で適用される競合危険モデルの最近の発展を念頭において、医療における医薬品やその他の治療法または予防法の有効性・安全性評価の場面を中心として、競合危険を考慮すべき状況、統計的モデルとその推測、ならびに具体的な事例の紹介など、競合危険モデルに基づく生存時間解析の考え方と統計的推測理論を解説する。