トップページ > プログラム > 企画セッション

企画セッション:テーマとねらい

神戸大会においては13の企画セッションが設けられています。テーマとオーガナイザは以下の通りです。テーマのねらい等については各テーマ名をクリックしてください。企画セッションの運営はオーガナイザに一任していますので,企画セッションで講演される方は直接オーガナイザにお問い合わせ下さい。


テーマ1:統計教育におけるカリキュラムと教材,評価システムの国際比較
〜国際標準化に向けて〜

オーガナイザー: 二宮智子(玉川大学),竹内光悦(実践女子大学)
ねらい:
統計教育のカリキュラムと教材,評価システムの国際比較研究を行っている研究者の講演を中心に,参加者で統計教育の国際標準化の動向に関して情報共有を行い,我が国の統計教育行政のガイドラインのあるべき姿を討議する。
日本の初等・中等数学教育における統計基礎教育は,最近,内容の削除,選択化など軽視傾向が続いている。一方,国際化と情報化の進展を受けて,国際的には1990年以降,統計教育システムのパラダイムシフトが進み,初等中等教育を含めて,政府の教育行政・学協会の協力のもと目覚しい充実を見せている。この現状を踏まえて, 諸外国の統計教育カリキュラムの具体的な内容と教材,教育の実践例,評価システムなどまとまった形で研究報告・討議の場を設けることは,統計関連学会として適時性のある企画と思われる。

テーマ2:政府統計改革の現状と課題

オーガナイザー: 西郷浩(早稲田大学),勝浦正樹(名城大学)
ねらい:
現在,政府統計に関しては,統計法の改正,統計調査の市場化,政府の統計組織の改革など,様々な側面で改革が進んでいます。こうした改革は,内閣府によって設置された「経済社会統計整備推進委員会」,「統計制度改革検討委員会」の方針に主に依拠しています。とりわけ2007年度は,こうした改革の実現の年でもあります。そこで本セッションでは,政府統計改革の現状と課題について,上記の委員会のメンバーでもある統計改革の推進者,実務担当者,有識者の講演と,それに続くパネル討論,さらにはフロアとの議論などを行います。セッションを通じて,統計改革の現状に関する参加者の理解を深めるとともに,その問題点や今後の方向性などについて明らかにすることを目的としています。

テーマ3:水産生物資源の解析と統計モデリング

オーガナイザー: 北門利英(東京海洋大学),南 美穂子(統計数理研究所)
ねらい:
水産資源の需要が世界的に高まる一方で,過去から幾度と無く繰り返されてきた乱獲,水産資源固有の様々な不確実性,そして漁業調整の難しさなどが原因で,水産資源はしばしば枯渇のリスクに直面する。持続的な水産資源の利用を図る上で,水産資源の資源状態を可能な限り正確に把握し,かつ漁業や環境変動などが資源に与える影響を理解することが必要となる。陸上の動物とは異なり,大規模でかつ直接観察できない水産資源の解析は容易ではないが,国内外において,調査および漁業の観察情報を有効に利用するための統計的モデリングと推測方法が多岐に渡って発展してきている。
そこで本セッションでは,水産生物資源の解析で利用される統計的方法について,資源評価から資源管理まで様々なテーマから方法論を紹介し,水産資源管理への有効な情報提供する手段としての統計的方法について議論を行う。

テーマ4:統計科学とマーケティング

オーガナイザー: 照井伸彦(東北大学),阿部 誠(東京大学)
ねらい:
2006年に発足した日本統計学会分科会「統計科学とマーケティング」の部会活動の一貫として,発足以来の活動成果を企画セッションとして組織して報告する。
マーケティング研究および実務の世界では,標本抽出法に代表される市場調査などのこれまでの統計学との古い関わり方をはるかに超えて,パネルデータの計量経済モデル,多変量解析の各種モデル,時系列モデル,MCMCを用いたベイズ統計分析などが盛んに適用され,統計科学の有用性を発揮している。これら大規模データをマネジメントのために解析する統計手法の開発と応用は,統計学にとって有望な発展領域であり,本セッションの研究報告と討論を通じて統計学の発展を目指す。

テーマ5:アレイデータ解析周辺にみる新しい統計的視点:総括と今後に向けて

オーガナイザー: 井元清哉(東京大学),樋口知之(統計数理研究所)
ねらい:
DNA アレイデータ(cDNA,oligo,exon,マクロ など)やprotein アレイデータの解析現場では,統計的手法が各解析プロセスにおいて必須である。こられのアレイデータの特徴として,
 (1) ケース数と特徴量の次元が著しく非対称なこと
 (2) 計測量が,興味ある対象の変化を高度に捨象した量であること
 (3)計測ノイズを含めた諸々のノイズの影響が大きいこと
等があげられる。これらの特徴に起因する諸問題を克服しつつ,解析結果を新たな知識発見へつなげていくには,統計科学や機械学習の諸先端的な手法が必要とされる。また,近年のアレイ実験技術の発達に伴い,得られるデータ,及び解析目的も多様化している。そこで,提案するセッションでは,これまで4年間引き続いて行ってきた企画セッション "DNAアレイデータ解析に関する統計的諸問題" および "アレイデータ解析周辺にみる新しい統計的視点" により得られた成果を総括し,さらに発展させ,新たな諸問題にどのようにとりくんでいくべきかを議論し,多くの統計科学研究者の英知を集め,次世代のバイオ情報科学の一つの柱となるきっかけをつくる。

テーマ6:高頻度データを用いた計量ファイナンス分析

オーガナイザー: 川崎能典(統計数理研究所),谷崎久志(神戸大学),西山慶彦(京都大学)
ねらい:
近年,金融データの蓄積の技術向上とともに,そのコストが下がりつつある。そのため,以前は技術的,経済的理由により入手困難であった高頻度の金融データを用いた計量分析が興味を集めている。高頻度データとは,例えば1分単位のデータ,あるいは更に細かいtick データとよばれる全ての取引を記録したデータの総称であるが,これらは例えば日次,月次データなどの低頻度観測のデータよりも,はるかに豊富な情報を含んでいる。しかし,他方で高頻度データは多くのノイズを含んでいると言われており,そのため一種のトレードオフが存在する。既存研究では,ノイズを嫌ってあえて頻度の低いデータを用いることも多々あるが,適切な統計処理によってノイズが存在する状況でもうまく推定・検定を行うための新たな手法の開発の努力も数多くなされている。このセッションでは,高頻度データが含む豊富な情報をうまく活用して,より効率的な金融資産価格の統計解析を目指す研究の最先端を紹介する。この分野は国際的な金融計量分析の研究動向といった観点からも重要視されており,統計学関連学会連合大会の企画セッションとして相応しいものであると考えられる。

テーマ7:「回転」研究の新「展開」

オーガナイザー: 足立浩平(大阪大学)
ねらい:
因子分析や主成分分析などの結果から有益な知見を得るためには,不定性をもつ解をいかに回転するかが重要な問題となる。この問題は,分析結果の「単純構造の実現度」という,いわば「適合度を越えたもの」をいかに定義して,最適化するかといった問題であり,近年注目される独立成分分析(ICA)とも関わる。また,ターゲットに合致するように行列を変換するプロクラステス分析も回転に含まれる。この回転問題を,数理統計学者は積極的に扱ってこなかったが,行動計量学分野では一つの研究領域をなし,新たな展開が見られる。

テーマ8:サイコメトリックスにおける多変量データ解析研究のゆくえ

オーガナイザー: 足立浩平(大阪大学)
ねらい:
本年はサイコメトリックス(心理統計学)の国際大会が7月に東京で開催されると同時に,定評のあるシリーズ書籍 Handbook of Statistics の最新26巻(Rao/Sinharay編)のタイトルが Psychometrics となり,当分野が統計学の一つの大きな潮流を占めそうな動向を感じる。ただし,この書籍は,Yanai/Ichikawa や Rao などの秀でた章があるものの,他の章の大半が教育測定関係でバランスが悪く,サイコメトリックスを網羅したとは,とても言い難い。そこで,この分野の特徴を,幾つかの多変量データ解析法を生み育んだことと捉え,サイコメトリックスで発展した因子分析,構造方程式モデリング,項目反応理論,主成分分析の拡張手法,および,多次元尺度構成法などのそれぞれについて,第一人者の演者に順次,今後の理論的発展や適用領域の拡大などの方向性についてご講演していただく。

テーマ9:データの可視化と計算機・Web技術

オーガナイザー: 森 裕一(岡山理科大学),飯塚誠也(岡山大学)
ねらい:
近年,Web技術も大きく進歩し,使われる技術もそれに伴い変化してきている。さらには,様々な統計情報や統計データが様々な形式で公開されているこのようなデータを分析,公開する場面において基本的な統計グラフは,Web上や新聞などでも良く用いられている。このように統計グラフの利用は,利用者にとってもわかりやすいツールとして利用されることが多い。計算機およびWeb技術が進歩することに伴い,統計グラフの表現方法や表現の可能性も大きく変化してきている。対話的な機能や動的な機能,多次元での表現なども実現できる。
本セッションでは,計算機,Web技術を利用した統計データの可視化に関する新たな展開について議論を行う。

テーマ10:リモートセンシング技術の展開と統計数理
−応用統計学会・日本リモートセンシング学会共同企画−

オーガナイザー: 田栗正章(応用統計学会会長)
ねらい:
近年のリモートセンシング技術の展開において統計数理が重要な役割を果たしているが,本セッションで,両学会の専門研究者間の交流の場を設け,相互に議論を行い,今後の融合領域の研究促進を図る。また,統計科学の応用領域との連携を内外にアッピールする。

テーマ11:日本計量生物学会 奨励賞受賞者講演

オーガナイザー: 上坂浩之(日本計量生物学会企画担当理事)
ねらい:
計量生物学の若手研究者の優れた研究成果に対して,その成果についての講演の機会を提供することにより更なる研究の発展を奨励するとともに,計量生物学会会員,及び計量生物学に関心を抱く方々の研究を刺激し,また,広く統計学の研究者あるいは利用者の方々に計量生物学への関心を高めていただくことを目的として,2007年の奨励賞受賞者に,受賞対象となった論文を中心に研究の紹介をしていただく。  
日本計量生物学会は,研究者へ刺激を与え, 若い研究者の成長を促進し, また研究環境の開拓と 研究の発展・拡大を期待して学会賞,功労賞,奨励賞の3賞を2003年に創設した。奨励賞は日本計量生物学会誌またはBiometrics誌, またはJournal of Agricultural, Biological, and Environmental Statistics誌に掲載された論文の著者で40歳未満の本学会員または学生会員から選出される。

テーマ12:日本統計学会 会長講演

オーガナイザー: 田中勝人(日本統計学会理事長)
ねらい:
統計数理研究所の北川源四郎先生は,2007年1月に第28代の日本統計学会の会長に就任されました。その就任を記念いたしまして,統計関連学会連合体系で講演をしていただきます。周知の通り北川先生は,時系列解析を中心として,わが国の,そして世界の統計学の発展に非常に大きな貢献をなさってこられました。その詳細を述べる必要もないほど著名な業績を発表なさっております。また現在では,統計数理研究所の所長としてもご活躍されております。そのような豊富な経験を踏まえて,統計科学の現状と課題,今後の展開などについて,ご講演いただきます。

テーマ13:応用統計学会 学会賞受賞者講演

オーガナイザー: 西井龍映(九州大学),岸野洋久(東京大学)
ねらい:
応用統計学会学会賞(優秀論文賞と奨励論文賞)の受賞者の講演を行い, 応用統計学へ貢献した優れた論文を紹介・広報する。