2004年度統計関連学会コンペティションセッションの報告
コンペティション担当企画委員 宮川雅巳
昨年に続き、柴田企画委員長の強力なリーダーシップのもと、2回目のコンペティションセッションを企画しました。対象とする会員は、博士学位取得後2年を超えない若手研究者です。お陰様で、今年も21名と昨年とほぼ同程度(昨年は24名)の参加申し込みがありました。
昨年との大きな相違点は、日程に余裕を持たせるために、3会場2日によるパラレルセッションにしたことです。一方、昨年同様、6つのセッションでは、いずれも関連学会の会長・副会長クラスの方々に座長をお引き受けいただきました。当日は、研究を奨励する貴重なコメントをいただきました。ご協力を感謝いたします。
両日とも朝一番のセッションながら、会場には非常に多くの参加者を得ました。パラレスセッションであることから、有効投票については
・
1つのセッションの講演をすべて聴いてすべてに投票したもの
・
ただし、講演者ならぶに共著者は自身への投票はしない
・
記名投票であること
と規定しました。結果として有効投票数は
1日目 A会場27票、B会場22票、C会場41~44票
2日目 A会場21~22票、B会場22~23票、C会場13~15票
でした。数値に範囲があるのは、講演者および共著者の投票によるものです。
評価は、昨年と同様に
A:受賞に価する
B:受賞としてもよい
C:受賞に価しない
を基本に、それぞれに+、-をつけた9段階評価を用いました。
集計に際しては、9段階の度数をカウントし、参考までに、A+=9からC-=1と換算したときの平均点を算出しました。
最終日9月6日(月)の午前8時30分より、座長を務められた先生方すべてにお集まりいただき、予備選考は一切行わず、集計結果のすべてを提示しました。それを基に、ギリギリの8時55分まで活発な議論を行いました。その結果、2004年度統計関連学会連合大会最優秀報告者には
荒木由布子さん
が選考され、2004年度統計関連学会連合大会優秀報告者には
清水泰隆君、 川喜田雅則君、 来嶋秀治君、 馬場国博君
の4名が選考されました(セッション順)。
当初の予定では、優秀報告者は「原則として2名」としておりましたが、優秀報告者に選考された4名の方は、いずれも高得点で優劣つけがたく、かつ、直接聴いていただいた座長の評価も高かったため、少し多めの授賞となったわけです。2名が絶対制約であったならば、短時間では決着しなかったでしょう。アテネオリンピック女子マラソン選考委員会の苦渋が理解されるところです。
一方で、残念ながら受賞されなかった講演にも、たいへん高い評価を受けたものがありました。結果的に、受賞された5名の方は、平均点でも上位5位でした。よって、今回のような高レベルの争いでは、少しでも低い評点があるとそれが極めてinfluentialになるわけです。座長の先生の中にも「将来、論文として評価されたときには、随分違った結果になるだろう」と言われた方がおられました。
もともと他人の研究を短時間に、かつ客観的に評価することは難しいことです。有効投票数をみると、聴講したにもかかわらず投票されなかった方もいらしたようです。「よくわからなかったので評価は控えたい」と投票を辞退されたのではないでしょうか。
私は一部を聴講し、かつ、集計作業をしてみて、感想がいくつかあります。まず、当然ながら、わかりやすい講演は高い評価を受けていました。次に、グループとしての研究の場合、受賞対象者の貢献内容が不明だと、評価のばらつきが大きくなることです。さらには、対象者が博士学位取得2年以内ですから、ポスドクと修士学生ではもともと勝負にならないのでは、という印象をもちました。発表者側にも、企画側にも、そして投票する側にも今後、改善すべき点があると思います。しかし、それらを鑑みても、今回のコンペティションは有意義だったと自賛しています。受賞者の表彰式でのスピーチはいずれもたいへん素晴らしく、今年もやってよかったと心底思いました。重ねて、参加会員のご協力に感謝いたします。
なお、有効投票結果は,投票者を匿名とし、パラレルセッションをランダマイズして配置し,さらにそのなかでの報告順もランダマイズした上で,以下の形式で公開しております.
http://ajss.gr.jp/2004R/2004Compe.csv
ダウンロードするときは,かならずCSV 形式でダウンロードしてください.
単純に「名前を付けて保存」するとHTMLのタグが最初と最後に入り純粋なCSVファイルではなくなります.Internet Explorer ならば上のリンクを右クリックして「対象をファイルに保存」を選び,保存ファイル名のサフィックスが csv でなければ csv に書き換えた上で保存してください
第一列は,投票者氏名記入の有無,そのあとの21列が各審査対象者に対応します.A,B,Cは初日の3セッションに対応し,D,E,F は二日目の3セッションに対応します.会場名とは無関係です.すべての投票用紙を記録してありますので,名前だけで評価の記入のない記録,無記名の評価,各セッションのすべての報告に対する評価がそろっていない記録など,無効な記録も含まれています.なお,報告者本人あるいは共同報告者による評価はなしでも有効な投票としましたし,そのような評価が記入されていたら,それは無視しました.ご自分で解析される場合は各セッションで無評価が1つだけの記録は有効,2つ以上無評価が存在する記録は無効と扱っていただいて問題ありません.