2003 年統計関連学会連合大会コンペティションセッション

 

ご存じのように, 今年初めての企画として,博士学位取得後 2 年を越えない会員を対象とした研究報告のコンペティションを実施いたしました.幸いにして,予想を超える24名の参加希望があり,プログラム編成上はかなり無理な面もあったのですが,当初のお約束通り,他に並行するセッションなしの形で本コンペティションを実施することができました.皆様のご協力の賜と感謝しております.特に,統計関連学会連絡委員会の委員の方々をはじめとして各学会の理事の方々には,すべての報告に出席していただくよう少々酷なお願いを致しましたが,結果的に 17 名の方が皆出席のうえ審査投票してくださったことは,審査結果の信頼性を高める上からもよかったと思っております.この17名のうちには,もちろん役職に就かれているかただけではなく,積極的に審査にご協いただいた方も数多く含まれており,その献身的なご協力にも深く感謝いたします.なお,部分出席の方の投票もふくめれば,91 名の審査投票をいただいたことになります.

 

コンペティション参加者24名は,その申し込み順に 6 つのセッションで報告していただきましたが,いずれも熱のこもった報告発表であり,なかなか甲乙つけがたい印象を受けました.しかし,コンペティションである以上,優秀賞,最優秀賞の対象者を選出しなければなりません.すべてのコンペティション報告終了後,座長をお願いした連合大会参加の3学会の会長,副会長相当の方 6 名にお集まりいただき,審査投票結果を検討していただきました.ここでは,その検討手順を簡単にご報告させていただきます.まず,投票は記名投票で,各報告者について A+ から C- までの 9 段階で評価していただき,A が授賞に価する,B が授賞してもよい,C が授賞に価しないという基準でしたので,まず皆出席の方の審査投票を検討し,A 以上の評価が極端に少ない,あるいは,C 以下の評価がいくつか見受けられる報告者を対象から外しました.その上で,A+ を9, C- を 1 とするスコアでの平均スコアを求めたところ,分野のバランスという点からも無理に当初予定していた 3 名に絞るよりは上位 4 名を受賞者とするほうが適当であろうという結論をいただき,最優秀者として最高平均スコア 7.00 を獲得した島津秀康君,優秀者として逸見昌之君,小西葉子さん,清智也君を表彰することにいたしました.念のため,部分出席の審査投票を含めてみましてもこの 4 名のうち最優秀を含む 3 名が上位 3 位までを占め,残りの 1 名も 5 位に入る成績でしたのでこの結果で問題ないと判断いたしました.表彰式で代表して賞状と副賞を渡していただいた,応用統計学会会長の佐藤義治氏の言葉にもありましたように,受賞者と惜しくも選にもれた方との差は極めて僅差でした.本コンペティションを実施した趣旨は,よりよい研究とその報告を奨励するというところにありましたので,残念ながら選に漏れた方にはこれに懲りずにまた来年挑戦していただけるようぜひお願い致します.参加者には個別に各投票者(匿名にしてあります)の評価とコメントのコピーをお送りしてありますので,今後の研究とその報告の仕方を改善する一助にしていただければ幸いです.

 

91 名分全員の投票結果は,投票者を匿名とし,審査対象者の順番をランダマイズして同定できないようにした上で,以下の形で公表しております.

2003Compe.csv

ダウンロードするときは,かならずCSV 形式でダウンロードしてください. 単純に「名前を付けて保存」するとHTMLのタグが最初と最後に入り純粋なCSVファイルではなくなります.Internet Explorer ならば上のリンクを右クリックして「対象をファイルに保存」を選び,保存ファイル名のサフィックスが csv でなければ csv に書き換えた上で保存してください.
第1列が審査投票用紙のID, 第2列が氏名記入の有無(1, 0), 第3列が出席セッション数,以降の24列が各報告者に対する 評価です.

 

これらのデータを解析していただけばすぐわかることですが,やはり,聴衆に何らかの感動を与えた報告が高平均でしかも分散の少ない得点を得ています.それは,審査投票者が報告技術もさることながら,単に自分の研究が進んだというだけでなく,それが何らかの新しい発見や説明に結びついているかどうかに重点を置いて評価してくださった結果だと思っております.分野の違いを乗り越えて,このような評価をしていただいたことは,今後の連合大会にとっても朗報であり,新しい時代を切り開く道が見えてきたような気がします.

重ねて,参加会員のご協力に感謝いたします.

 

                                        コンペティション担当企画委員 柴田 里程